概要:AIによってホワイトカラーの仕事が揺らぎ、副業や起業を考える人が増えています。この記事では、昔から強いビジネスに共通する「衣食住」という視点から、FXがなぜ”売る努力”を必要としないビジネスなのかを整理します。

【結論】

AIによってホワイトカラーの業務が代替されつつあることで、副業・起業・転職を検討する人が増えています。昔から強いビジネスの共通点は「衣食住」に関わっているかどうかであり、生活必需品は作れば自然に売れていく構造を持っています。FXも、種をまいて収穫するだけの農業に近く、誰かを説得して買ってもらうという外的な技術を必要としない、数少ない仕事の1つです。ただし、これは「簡単に稼げる」という意味ではありません。売る技術が要らないことと、簡単に稼げることはまったく別の話であり、外的な説得の技術の代わりに、自分自身の判断力という内的な技術を磨く必要があります。

なぜ今、副業・起業・転職を考える人が増えているのか

AIによってホワイトカラーの業務が代替されつつあることで、士業や専門職の間でも副業・起業・転職を検討する人が増えています。 ファイナンシャルプランナー、税理士、弁護士といった士業や、認定テクニカルアナリストのような専門職も例外ではありません。これまで専門知識そのものが価値の源泉だった職種ほど、AIによる代替の影響を受けやすくなっています。

昔から強い商売の共通点は「衣食住」

こうした状況の中で、あらためて重要になるのが「衣食住」という視点です。

衣食住に関わるビジネスは、人間が生きる限り必要とされ続けるため、昔から最も安定した商売の基本とされてきました。 畑を耕して作物を作り、農協に出荷する。それだけで商売は成立します。魚を獲ってきて市場でセリにかければ、人々が勝手に値段を競い合って売れていきます。服を着ない人間はいませんし、住む場所も必ず必要です。人間はいつか必ず亡くなるので、火葬場やお墓に関わるビジネスも、広い意味では生活に関わるビジネスだと言えます。ラーメンのように、炭水化物と油という人間の本能が求めるものを扱う商売も、人気店には長蛇の列ができます。

生活必需品ではないものを売ることの難しさ

一方で、副業としてこうしたビジネスに新規参入するのは簡単ではありません。特に、生活必需品ではないものを人に売ることは、想像以上に難しい仕事です。

生活必需品を扱うビジネスは、作れば自然に売れていく構造を持つ一方、それ以外のものを売るには、相手に必要性を訴えて説得するという、まったく別の技術が必要になります。 企業においても、事務用品やパソコン、資材のような必需品はある程度自然に売れますが、それ以外のものは、必要性を訴えて買ってもらう努力が欠かせません。

新人営業マンだった頃、上司にこう言われたことがあります。「お前らは、鉛筆一本売れやしないぞ」と。営業のスキルには様々な要素があり、それ自体が非常に難しい技術です。

FXが「売らなくていい」ビジネスである理由

投資は、種をまいて収穫するだけの農業に近く、誰かを説得して買ってもらうという外的な技術を必要としない、数少ない仕事の1つです。 相場に向き合い、売りか買いかを判断して種をまく。それを収穫するだけです。誰かに何かを売るという努力そのものが、この仕事には存在しません。

この構造は、農業や漁業と本質的に似ています。作物や魚を、いくらで買うかを消費者に説得して回る必要がないのと同じように、トレードでも、自分のポジションを誰かに売り込む必要はありません。

ただし「簡単」の意味を取り違えてはいけない

ここで、はっきりさせておきたいことがあります。

「売る技術が要らない」ことと「簡単に稼げる」ことはまったく別の話であり、FXで結果を出すには、他人を説得する外的な技術の代わりに、自分自身の判断力という内的な技術を磨く必要があります。 農業も、種をまけば必ず収穫できるわけではありません。天候や土壌、育てる作物についての知識と経験が必要です。FXも同じで、外に向けた営業努力が不要な代わりに、内側に向けた技術、つまり相場を読み、判断し、リスクを管理する技術が不可欠です。

以前の記事(トレードの学習曲線はなぜ誰もショートカットできないのか)で触れた通り、この内的な技術の習得には、相応の学習時間と、何度も学習曲線の谷を越える経験が必要になります。「売らなくていい」というのは、営業という特定の種類の苦労が存在しないという意味であって、苦労そのものが存在しないという意味ではありません。

まとめ

AIによってホワイトカラーの仕事が揺らぐ中、衣食住に関わるビジネスや、FXのように「売る努力」を必要としない仕事に注目が集まるのは自然な流れです。ただし、その”簡単さ”の正体は、外的な説得技術が不要だという点にあり、内的な判断力を磨く努力までが不要になるわけではありません。

この違いを理解した上で、自分の判断力という内側の技術に、どれだけ向き合えるか。それが、この仕事で長く続けられるかどうかの分かれ目になります。


本記事は、20年以上のFXトレード経験と実際のトレード指導の現場から得た知見をもとに執筆しています。特定の売買・副業を推奨するものではなく、情報提供を目的としています。