概要文:G20でのベッセント財務長官・片山財務相・植田総裁の会談後、ドル円は400pips規模の急落となり、156円台に接近しました。この記事では、外貨預金という投資ブームがなぜ今、損益分岐点の攻防に直面しているのかを整理し、投資ブームが繰り返し来ては去っていく構造について書きます。

【結論】

投資のブームは繰り返し現れては去っていくものであり、外貨預金という選択肢も例外ではありません。1ドル158円前後のピーク付近で参入した層は、数ヶ月の運用で得られる金利では、数円規模の急激な円高による為替差損を相殺できず、為替手数料や税金による目減りも重なって、含み損に転じやすい状況にあります。G20会談後のドル円急落は、この構造を一気に表面化させました。私たちがこの動きに慌てなかったのは、AIで事前にトレードアイデアを立て、その通りに実行していたからです。

G20会談後、ドル円が一気に156円に接近

G20の財務相・中央銀行総裁会議に合わせて、ベッセント米財務長官・片山財務相・植田日銀総裁の会談が行われました。この会談を境に、ドル円は400pips規模の急落となり、あれよあれよという間に156円台に近づいています。

私たちはこの下落について、9月4日に向けて下落が進む可能性があることを、事前にお伝えしていました(参考:以前のnote記事)。そのため、今回の急落自体は驚くようなことではなく、想定していた通りの展開でした。

外貨預金勢が今まさに直面している「損益分岐点の攻防」

一方で、この急落によって、外貨預金、特に米ドル預金を保有している層の多くが、厳しい損益分岐点の攻防に直面しています。

高金利という魅力に惹かれて外貨預金を始めた人は多いはずですが、ここ数年の歴史的な円安局面の終盤で参入した層にとっては、まさに今が正念場です。155〜156円付近を境に、直近(2024年半ば以降の円安期など)で始めた人の多くが、利回りを含めてもトータルで含み損に転じている可能性が高いと見ています。

155〜156円が”防衛ライン”になる3つの理由

なぜこの水準が防衛ラインになるのか、金利・為替手数料・税金という3つの視点から整理します。

1ドル158円のピーク付近で参入した場合、数ヶ月の運用で得られる金利では、数円規模の急激な円高による為替差損を相殺できません。 米ドルの年利が4〜5%前後あったとしても、158円から155円への急激な円高による差損を、数ヶ月分の利息だけで埋めるのは困難です。

外貨預金には預入時と払戻時に為替コスト(スプレッド)が発生し、実店舗型の銀行では往復2円程度かかることも珍しくありません。 ネット銀行であれば片道数銭〜25銭程度で済む場合もありますが、実質的な取得単価が158円ではなく159円相当になっているケースもあり、利回りでの穴埋めがさらに遠のきます。

外貨預金の利息には20.315%の税金が源泉徴収されるため、額面5%の年利でも実質利回りは約3.9%まで低下し、円高に耐えられる為替クッションは想像以上に薄くなります。 この税負担も、防衛ラインを押し上げる一因になっています。

参入時期で分かれる明暗

同じ外貨預金でも、参入時期によって状況はまったく異なります。

2022〜2023年に参入した層は蓄積した為替差益と利回りがあるため多少の円高では痛手にならない一方、2024年以降に参入した層は利回りの蓄積が浅く、為替差損を金利で相殺できないまま含み損に転じやすくなっています。 110円〜130円台で参入した層は、155円を割り込んでも「利益が減っただけ」で済みますが、155円〜160円で参入した層にとっては、数ヶ月分の利息(1%未満)では到底カバーできない為替差損が直撃している状態です。

投資はブームが来ては去っていく

外貨預金に限らず、投資の世界ではさまざまなブームが繰り返し現れては去っていきます。投資のブームは繰り返し現れては去っていくものであり、外貨預金という選択肢も例外ではありません。 以前の記事(「これから始めるべき副業・ビジネス3選」米国CDS低下は”国債投資の時代”の始まりか)でも触れましたが、その時々で「これが安定的で有利だ」と語られる選択肢は移り変わっていきます。高金利という言葉に惹かれて参入した資金ほど、こうした転換点で急激に評価を落としやすいという構造は、今回の局面にもそのまま当てはまります。

私たちが慌てなかった理由

今回の急落局面で、私たちが慌てることなく過ごせたのは、特別な勘があったからではありません。AIで事前にトレードアイデアを立て、その通りに実行していただけです。

これは、以前の記事(マーケットハンドリング手法とは何かトレーダーの仕事はシナリオを描き続けること)で触れた内容とそのまま重なります。目に見える情報・目に見えるが対象外の情報・目に見えない情報を組み合わせてシナリオを描き、状況が変化すればシナリオを描き直す。この作業を、AIを使いながら地道に続けてきた結果が、今回のような急変動局面でパニックに陥らずに済んだ理由です。

まとめ

G20会談後のドル円急落は、外貨預金という投資ブームの終盤に参入した層の損益分岐点を、一気に表面化させました。投資のブームは繰り返し現れては去っていくものであり、高金利という言葉だけを頼りに参入することのリスクは、今回もあらためて浮き彫りになったと言えます。

大切なのは、ブームに乗るか避けるかではなく、事前にシナリオを描き、その通りに実行できる準備を持っておくことです。AIはその準備を大きく後押ししてくれる道具になっています。


本記事は、20年以上のFXトレード経験をもとに執筆しています。特定の金融商品・売買を推奨するものではなく、情報提供を目的としています。外貨預金等の商品性・手数料体系は金融機関によって異なるため、実際の判断にあたってはご自身の契約内容をご確認ください。