直近の日経225の上昇について、週足と日足の指標が真っ二つに割れておりユーザーから質問が来たので深掘りしてみました。
直近の値動き
2026年8月7日の終値65,606円から、8月14日には69,000円台を約1.5ヶ月ぶりに回復。わずか5営業日で3,600円超の上昇でした(8月21日15:30時点の終値は66,016円)。
| 日付 | 動き | 主因(報道ベース) |
|---|---|---|
| 8/7 | ▼76円(-0.12%) | 様子見 |
| 8/12 | ▲0.5% | アジア株高・KOSPI連動 |
| 8/13 | ▲784円(+1.17%) | 半導体・AI株買い、自社株買い |
| 8/14 | 69,000円台回復 | 半導体・AI株継続買い |
| 8/19 | ▼2.6% | 国内長期金利急騰への懸念 |
| 8/20 | ▲656円(+1.00%) | 前日急落後の買い戻し、米国債買い戻し |
| 8/21 | ▼200円(-0.30%) | 利益確定・金利上昇圧力 |
オプション買い戻し(ガンマスクイーズ)は主因と言えるか
結論から言うと、単独の主因とは言い切れません。ニュースで報じられている「買い戻し」の大部分は、企業の自社株買いと、米財務省の長期国債買い戻しプログラムを指しており、オプション市場特有のガンマスクイーズを明示的に示す報道は現時点で確認できていません。
ただし、状況証拠としてオプション需給の関与を示唆するポイントはあります。
- 25日移動平均線(65,906円)からの乖離率が5.03%に到達。デルタヘッジ勢のポジション巻き戻しが加速しやすい水準
- VIXが15.47まで低下(-3.37%)。ボラティリティ低下はプット売りポジションのロールアップを促しやすい環境
- 8/19の-2.6%急落→8/20の+1.0%反発というパターンは、プットのデルタヘッジ解消と一致しやすい動き
上昇の3層構造
Wallenの整理によると、今回の上昇は以下の3層が重なった結果と見られます。
- ファンダメンタル層:半導体・AI関連(Advantest、Kioxiaなど)への継続買い、円安(USD/JPY 158.97)による輸出株への追い風
- フロー層:東証の企業価値向上要請を受けた自社株買いの積極化
- テクニカル層:5%乖離超えによる短期過熱→利益確定売り→デルタヘッジの巻き戻し
オプション需給が「主因」というより、ファンダメンタルとフロー主導の上昇を、オプションのデルタヘッジが増幅した、という整理が現状の証拠に即した解釈だと思います。
金利上昇という、もう一つの震源地
日本10年国債金利は8月18日に2.945%と、約30年ぶりの高水準に到達しました。BOJの次回利上げ期待は9月17〜18日、BofAは来年7月までに4回の利上げで政策金利2.0%へ到達すると予測しています。財政面では、債務コストが2029年に31兆円から41兆円へ増加する試算もあり、財政リスクが長期金利をさらに押し上げるリスクも指摘されています。
金利上昇が日経を揺さぶる経路は主に3つです。
- バリュエーション圧縮:リスクフリーレート上昇で半導体・AI成長株のDCF評価が下がる(8/19にキオクシアHD-13%、ルネサス-9%はこの経路)
- 財政リスクプレミアム:債務コスト増加→財政への信認低下→長期金利さらなる上昇、という悪循環リスク
- 円高圧力:BOJ利上げ期待の高まりは円高方向に作用し、輸出株収益の目減りが重石になる
ピボットポイントで見るサポートゾーン
現在値66,016円を基点にした日足ピボット(Classic)は以下の通りです。
| レベル | 価格 | 性質 |
|---|---|---|
| R2 | 66,705円 | 直近レジスタンス |
| R1 | 65,988円 | 上値抵抗(現値近辺) |
| Pivot | 65,608円 | 基準線 |
| S1 | 64,891円 | 第1サポート |
| S2 | 64,511円 | Fibonacci S2(64,930円)と重複帯 |
| S3 | 63,794円 | 強いサポート |
週足ではS1が66,506円、S2が64,297円、S3が62,746円(金利急騰シナリオでの視野)です。
シグナルの「分裂」
日足と週足でシグナルが真っ二つに割れているのが、今の局面の特徴です。
- 日足:総合Strong Sell、RSI 48.09(中立)、MACD -80.18(売り)、Stochastic 95.7(買われ過ぎ)
- 週足:総合Buy、RSI 58.19(買い)、MACD +2939(買い)、Stochastic 88.5(買われ過ぎ)
日足Stochasticが買われ過ぎでありながらMACDが売りシグナルという組み合わせは、短期の過熱が急速に解消される局面を示唆しています。週足RSIはまだ58.19なので、長期トレンドそのものは崩壊していません。ADX(日足)は24.5で、トレンドは「発達中」の域。25を超えてくると、本格的な下落加速の判断材料になります。
シナリオ別の次の焦点
- ベースケース(BOJが9月に0.25%の小幅利上げ):S1帯64,891〜64,511円でいったん反発を試す展開。週足サポートの64,297円付近も控える
- ベアケース(10年金利が3%超で定着):週足S3の62,746円まで視野。8/19の-2.6%を超えるボラティリティへの備えが必要
- ブルリバーサル(金利上昇一服+米CPI鈍化):週足R1の70,265円への再挑戦シナリオが復活
週足MACDがまだ+2,939と大きくプラス域にある間は、「長期トレンド崩壊」とは呼びにくい状況です。日足と週足の乖離が埋まるまで、サポート帯での値動きを確認するのが、現状最も合理的な観察スタンスだと考えています。
※本内容は情報提供のみを目的としており、投資アドバイスではありません。