概要:人の痛みには、体の痛みと、自分の間違いを認める痛みの2種類があります。この記事では、トレーダーが過信していた手法を手放す痛みと、AIによってビジネスの前提が揺らぐ痛みが、実は同じ構造をしていることを整理します。

【結論】

人の痛みには、体の痛みと、自分の間違いを認める”改心の痛み”の2種類があります。過信していた手法を手放すことにも、自分の考えが間違っていたと認めることにも痛みが伴いますが、その痛みは体の痛みほどではありません。この構造は、トレーダーが手法を手放す場面にも、AIによって既存のビジネスの前提が揺らぐ場面にも、そのまま当てはまります。認めずにやり過ごそうとすると、後でより大きな痛みとなって返ってきます。

人の痛みは2種類しかない

人の痛みには、体の痛みと、改心の痛みの2種類があります。

人の痛みには、体の痛みと、自分の間違いを認める”改心の痛み”の2種類があります。 自分が信じていた(あるいは過信していた)ものを手放すことにも、自分の考えが間違っていたと認めることにも、確かに痛みが伴います。しかし、それは体の痛みに比べれば、はるかにマシなものです。

トレーダーにとっての「改心の痛み」

トレードの世界でこの痛みが最もよく現れるのが、過信していた手法を手放す瞬間です。

過信していた手法を手放すことにも、自分の考えが間違っていたと認めることにも痛みが伴いますが、その痛みは体の痛みほどではありません。 それでも、多くのトレーダーがこの痛みを避けるために、機能しなくなった手法にしがみつき続けます。過去にうまくいった記憶や、そこに費やした時間そのものが、手放すことへの抵抗を生み出すからです。

この構造は、以前の記事(トレードの学習曲線はなぜ誰もショートカットできないのか)で触れた「絶望の谷」とも重なります。知識不足を痛感し、自信が底辺まで落ち込む局面を通過しなければ、次の段階には進めません。改心の痛みを避け続けることは、この谷を素通りしようとすることと同じです。

AIブームが炙り出す、もう1つの「改心の痛み」

最近AIが話題になることで、既存のビジネスの前提が揺らいだり、逆にそれを教えることで儲けようとするムーブメントが盛り上がったりしています。これも、いつものことです。

ぬるま湯に浸かっていたことを認める。今のブームが一過性のものかもしれないと認める。あるいは、AIによって人に痛みを与えなければならない局面(人員体制の見直しなど)が来ることを認める。AIによって既存のビジネスの前提が揺らいでいることを認めず、ぬるま湯に浸かっていた事実をやり過ごそうとすると、後でより大きな痛みとなって返ってきます。

以前の記事(「AI顧問」はもう終わっているAI研修をしたら人が余った、という社長からの”内緒の相談”が増えている理由)で扱ったテーマも、根っこにあるのはこの同じ痛みです。知識の非対称性で稼ぐビジネスモデルが終わりつつあることを認める痛み、人員体制を見直さなければならない痛み。どちらも、認めること自体に痛みが伴うからこそ、多くの人が先送りにしてしまいます。

認めずにやり過ごすと、別の痛みが襲ってくる

一過性のブームなのか、構造的な変化なのかを見極めずに反応することは、どちらの側に転んでも痛みを先送りしているにすぎません。 手放すべき手法にしがみつき続ければ、いずれ大きな損失という体の痛みに近い痛みを伴う形で、その代償を払うことになります。ビジネスの前提の変化を認めなければ、後でより急激で大きな変化を強いられることになります。

改心の痛みを早めに引き受けることは、その先にある、もっと大きな痛みを避けるための最も合理的な選択です。

まとめ

痛みには、体の痛みと改心の痛みの2種類しかありません。過信していた手法を手放すことも、自分の考えが間違っていたと認めることも、確かに痛みを伴います。しかし、それを避けてやり過ごそうとすれば、後でより大きな痛みとなって返ってきます。

これはトレードにも、AIによってビジネスの前提が揺らぐ場面にも共通する構造です。早く認め、早く手放す。この痛みへの向き合い方こそが、長く生き残るための技術だと言えます。


本記事は、20年以上のFXトレード経験と実際のトレード指導・ビジネスコンサルティングの現場から得た知見をもとに執筆しています。特定の売買・サービスを推奨するものではなく、情報提供を目的としています。