RSIをはじめとするオシレーター系インジケーターは、直近の値動きに対する売られすぎ・買われすぎのおおまかな傾向を示しているにすぎません。天底を当てるための単独の武器ではなく、他の情報と組み合わせて使う補助的な道具として扱うことで、はじめて実践で機能します。一方向に伸び続ける相場や、急激な値動きの直後には機能しにくいという弱点も、あらかじめ理解しておく必要があります。
RSIの数値や使い方だけを覚えても、実践では思ったように機能しません。「なぜ機能する時と機能しない時があるのか」を理解して初めて、実践的な武器になります。
インジケーターは何のための”情報”なのか
一般的に個人がトレードで使うインジケーターは、未来予測系やマルチアセット分析ができるものを除けば、そのほぼすべてが過去の値動きと比較して、今どういう状況なのかという”情報”を提供するものです。
手法とは、トレードアイデアを立てるために必要十分な情報を集めるための手順のことであり、その情報源の1つがインジケーターです。インジケーターを使わなくても得られる情報もありますが、オシレーター系のインジケーターは「今、売られすぎ・買われすぎの状態にあるか」という情報を、手っ取り早く数値化してくれる道具だと理解しておくと扱いやすくなります。
RSIが機能するために必要な2つの前提条件
オシレーター系のインジケーターで売られすぎ・買われすぎの情報を知りたい時、見落とされがちな注意点が2つあります。
実際にそのオシレーターのKPI(基準値)に対して、目の前の相場で市場参加者が反応していることが確認できる場合に限り、機能する可能性が高まります。
もう1つの前提が、相場が規則的に動いている場合でなければ機能しないという点です。この2つの前提を理解しないまま使うと、「効かなかった」という結果だけが残ってしまいます。
RSIが機能しにくい相場環境とは
具体的に、RSIをはじめとするオシレーター系インジケーターが機能しにくい相場環境は、次の2つです。
- 一辺倒の上昇(または下落)が続いている相場:自分がメインで環境認識を行っている時間軸において、押し目・戻りをほとんど作らずに一方向へ動き続けている場合、オシレーター系のインジケーターには買われすぎ(または売られすぎ)の圧力がかかり続けます。この状態では、ちょっとした反転にも過剰に反応してしまい、ダマシが増えます。
- 急激な値動きがあった直後:ジリジリとした一方向の動きだけでなく、急落・急騰のような急激な動きの直後も同様に、オシレーターは正常に機能しにくくなります。
この弱点を知らずに「売られすぎだから買い」と機械的に判断すると、トレンドの途中で何度も逆張りして削られることになります。
RSIの計算式と基本的な使い方
RSI(Relative Strength Index)は、一般的に14期間で計算されます。
計算の考え方はシンプルで、一定期間における値上がり幅の平均と値下がり幅の平均を比較し、次の式で0〜100の範囲に変換します。
RSI = 100 − (100 ÷ (1 + RS))
数値が0〜100の範囲に収まるため、直感的に「今どのくらい偏っているか」を把握しやすいのが特徴です。
ここから得られる情報は、あくまで「直近の値動きに対して、上昇と下落のどちらの勢いが強かったか」という相対的な偏りにすぎません。未来の値動きを予測しているわけではない、という点を忘れないようにしてください。
RSIをどう手法に組み込むべきか
ここまで整理してきた内容をまとめると、RSIを含むオシレーター系インジケーターの位置づけは次のようになります。
RSIは天底を当てるための道具ではなく、他の情報と組み合わせるための補助的な道具です。
単独で売買判断を下すのではなく、環境認識(規則的に振幅しているか、一方向に伸びていないか)や、場所の情報(ラウンドナンバー・フィボナッチ・ピボットポイント・流動性プールなど)といった他の情報と重ね合わせて使うことで、はじめて実践的な武器になります。
このあたりの考え方は、以前の記事(天底を当てることと、正しく利確することは別の話)で触れた「トレンドライン・オシレーターだけに頼ることの限界」ともつながっています。あわせて読むと、オシレーター系インジケーター全般の扱い方がより明確になるはずです。
※本記事は、20年以上のFXトレード経験と実際のトレード指導の現場から得た知見をもとに執筆しています。特定の売買を推奨するものではなく、情報提供を目的としています。